日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを込めて贈る「御歳暮」「お中元」ですが、贈り先の相手あるいは自分の身内に予期せぬ不幸があった場合、その年は贈っていいのかどうか迷ってしまうものですよね。
◎自分の身内に不幸があった場合、毎年贈っているお歳暮は贈ってもいいの?
◎贈り先の相手が喪中であった場合、その年のお歳暮は贈るべき?控えるべき?
◎喪中の時のお歳暮で注意しなくてはならないことは?
◎お歳暮を贈った後、贈り先の相手が喪中であると知った場合はどうする?
◎故人宛にお歳暮が届いたときの対処法は?
これらの疑問について、詳しく見ていくことにしましょう。
自分が喪中の場合お歳暮は贈ってもいいの?
自分の身内に不幸があった場合、その年のお歳暮は贈っていいかどうか迷いますよね。
喪中の期間にしてはいけないことは「お祝いに関わること」です。
お歳暮やお中元は、日ごろの感謝の気持ちを込めて品物を贈るいわば時候の挨拶であるため、お祝い事ではないとされています。
よって、喪に服している期間であっても、通常通りお歳暮やお中元をしても問題ありません。
ただし、忌中(四十九日の法要までの期間)の間は、いかなる贈り物も避けなければなりません。
また、自分の気持ちに整理がつかず、お歳暮などの贈り物をする気持ちになれない場合もあるでしょう。
そんな時は無理せず、落ち着いてから改めて「寒中御見舞い」として品物を贈るという方法もあります。
また、相手によっては、喪中の人からの贈り物を「縁起が良くない」と捉えられたり、贈ることでかえって贈り先の相手に気を遣わせることにもなりかねません。
そういった場合、品物を贈る時期を少しずらしたり、挨拶状を送るなどして、相手への配慮をすることが大切です。
喪中の際のお歳暮は熨斗や水引に注意
喪中の期間であっても、お歳暮などの挨拶はいつも通りして構いません。
しかし、気を付けないといけない点として「のし紙」が通常のものと違うということです。
通常のお歳暮で使うのし紙は、紅白の蝶結びの水引が書かれたものですが、紅白はお祝いの気持ちを表しているので、喪中の時に使うのし紙は「無地で水引がないかけ紙」を使います。
これは、自分が喪中の場合も、相手が喪中であっても同じです。
故人あてにお歳暮が届いた!どうする?
故人が他界されたことを知らずに、故人宛にお歳暮が贈られてくる場合があります。
最近は家族葬や密葬が増えてきたことにより、故人が亡くなったことをお知らせする機会が減ってきていますからね。
故人宛に届いたということは、贈り主の方は故人が亡くなったことを知らないということになりますので、まずは早急にそのことをお伝えしなくてはなりません。
葬儀を無事終えたというご報告と、連絡が遅くなったことのお詫びをしたためたお礼状を添え、いただいたお歳暮と同等の品物をお返ししておくのが正式なマナーです。
お礼状に書く内容は、
・お歳暮を贈っていただいたことへの感謝の気持ち
・宛先の家族が亡くなったことを伝える
・通知が遅れたことへのお詫び
・贈り先の相手を気遣う一言
これらを手紙でもハガキでも構いませんので、できるだけ早めに送っておきましょう。
ちなみに、故人が亡くなられたことを知った上で贈ってこられる場合もあります。
そのような場合に添えるお礼状の書き方を下記に記しておきますので、よろしければ参考になさってくださいね。
喪中のため、ご挨拶を差し控えさせていただいておりましたが、
この度は結構なお品を頂戴し、誠にありがとうございました。
生前と変わらぬご厚情に感謝申し上げます。
寒さが一段と厳しくなる折柄、なにとぞお体を大切にお過ごしください。
喪中の相手にお歳暮は贈ってもよい?
相手が喪中の場合も、自分が喪中の場合と同じように、お中元やお歳暮を贈っても差し支えありません。ただし、四十九日の法要が終わっていない忌中の期間は避けるのがマナーです。
しかし、いくら贈っても良いとはいえ、相手が喪中の場合には、悲しみや寂しさを思いやる気持ちが欠かせないものです。
ほかにも、気を付けないといけないことがいくつかありますので、具体的にみていきましょう。
喪中の家庭にお歳暮を贈る際の注意点!
喪中のご家庭にお歳暮を贈るときは、通常のお歳暮と違い、気を付けておかなければならない点がいくつかあります。
・紅白の熨斗は使わない(無地のし紙を使う)
・間違っても故人の宛名に贈らない
・送り状を添える場合、おめでたい文言は使わない
無地で水引のない熨斗を使うというのは先ほどと同じですが、毎年亡くなられた故人に宛ててお歳暮を贈っている場合、うっかり故人の名前で贈ってしまう場合があります。
そのようなことがないように、くれぐれも気を付けておきましょう。
また、お歳暮と一緒に感謝の気持ちを込めて送り状を付けることが望ましいのですが、書く文面に配慮する必要があります。
「お慶び申し上げます」「元気でご活躍のことと存じます」のような、慶びの言葉は間違っても書いてはいけません。
また、身内を亡くされたご家庭に対しては、「皆様におかれましては」「ご家族の皆様お変わりありませんか」などのような「家族」を連想させる言葉は避けた方が無難です。
喪中の方へのお歳暮も、基本的には通常のお歳暮と変わりはないんですが、亡くなられたご家族への配慮を失念しないようにしたいものです。
お歳暮を贈った後に喪中を知ったときは?
お歳暮商戦の影響もあり、最近ではお歳暮の品物をシーズンになるかなり前から手配する人も増えています。
早期割引と銘打って、10%~20%offなんて当たり前、すごいところでは50%近く安くなるところも増えていますので、できるだけ早く購入したほうが断然お得ですよね。
しかし、こういった早得割引を利用した場合、先方が喪中であることを知らずに贈ってしまった、または、贈った後に先方に不幸があった、なんてことも考えられますよね。
例えば、11月中に品物を手配して12月上旬に配送してもらう場合、タイミングによっては配送をストップしてもらうことも可能かもしれません。
しかし、基本的にお歳暮はお祝い事でも慶び事でもなく「一年の締めくくりの挨拶」という位置づけですので、喪中の期間であってもなんら問題ありません。
先方や自分に不幸があった場合、送ってはいけないのは「年賀状」だけです。
ただし、喪中ではなく忌中にお歳暮が届いてしまったり、喪中であることがどうしても気になる場合であれば、
◎後日、先方に電話などで失礼をお詫びする。
◎日を改めてご焼香させていただく。
など、失礼があったことへのお詫びをしておくようにしましょう。
喪中のお歳暮で贈ってはいけないもの
喪中だからといって贈る品物にとくに決まりはありません。
しかし「紅白の色が付いたもの」「慶びを連想させるもの」は避けるようにしましょう。
また、忌中が明けて間もない場合、何かと忙しいことも少なくありませんよね。そんな時に「日持ちのしない生もの」「食べきれないほどのもの」を贈ってしまうのは、配慮に欠けると思われても仕方ありません。
ほかにも、故人の好きだった品物を贈る、というのもよく聞かれますが、亡くなってまだ日が浅い場合、悲しみをより深くしてしまうことも考えられますので、贈り先の相手の気持ちに寄り添って考えてあげることが大切になってくるでしょう。
そのほか、一般的にお歳暮で贈ってはいけないとされるものがこちらの記事に詳しくまとめてありますので、よかったら参考になさってください。
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喪中の際のお歳暮に選ぶべき品物
喪中であっても、通常のお歳暮を選ぶときと同じようにするのが基本ですが、以下のようなものだと気の利いた贈り物になると思います。
☆調理済みですぐ食べられるグルメギフト
☆好きな時に選べるカタログギフト
身内に不幸があった場合、なにかと来客が多いものです。そんな時に大活躍しそうなのが、来客用のお茶やコーヒーの詰合せです。
一緒にお出しできるお茶菓子も、もらってうれしいものの一つですよね。
ほかにも、忙しくて食事の準備の時間が取れない時でも、温めるだけですぐに食べられる調理済みグルメなど、さりげない心配りがとても嬉しい贈り物になると思います。
まとめ
自分が喪中のとき、あるいは、贈り先の相手が喪中であった場合、その年のお歳暮は贈ってもいいの?
また、贈ってものであれば、どんな点に注意すればいいの?などについて、まとめてみました。
☆自分が喪中でも、贈り先の相手が喪中でも同じ。
☆忌中(四十九日の法要までの期間)は避けた方がよい
☆喪中の場合、熨斗は無地のものを使用。
☆送り状を添える場合、おめでたい文言は使わない。
☆故人に宛てて贈らないようにする。
☆品物は慶びを連想させるもの、紅白のものを避ける。
こういったポイントをしっかりとおさえておくと安心です。
大切な人と末永くお付き合いしていくため、このような冠婚葬祭のマナーを今一度確認しておくようにしましょう。
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